財産の遺し方を考える

公正証書遺言はこうして作成される

公正証書遺言は、公証役場に出向いた遺言者本人の嘱託に基づき、公証人が公証人法・民法などの法律に基づいて作成します。公証役場は公証人が執務するところです。役場の名称については、地名の後に「公証役場」「公証人役場」というものが多いのですが、「公証人合同役場」「公証センター」などというのもあり、全国に約300カ所あります。また、公証人は、法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員で、その多くは、法曹有資格者から任命されており、全国に約500人います。

2人以上の証人の立会が必要

民法は、公正証書遺言を作成する場合、2人以上の証人が必要であるとしています。その目的は、「遺言者が自分の意思に基づいて遺言したことを確認するため」などです。ただし、次の人は、証人になることができません。

  • 1
    未成年者。
  • 2
    推定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族。これは、遺言の内容と直接利害関係にある人は証人になることができないということです。
  • 3
    公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人。

証人の資格がない人が立ち会った場合、遺言書は無効になります。また、遺言の内容が他に漏れる可能性もありますので、証人選びは注意が必要です。なお、身近に適当な証人が見当たらない場合は、公証役場で紹介してもらうことができますし、遺言書の作成段階から専門家に相談すれば、業務の一環として証人になることを引受けてもらえます。

公正証書遺言の作成に必要な書類

公正証書遺言を作成するためには、次の書類を公証役場に持っていく必要があります。

  • 1
    遺言者の実印(作成の際に使用する印鑑は、印鑑登録した実印です)と印鑑登録証明書(本人確認のためです)
  • 2
    証人の住所、氏名、生年月日、職業を記載したメモ(場合によっては、運転免許証など証明する書類)
  • 3
    財産を渡す人が相続人である場合はその人の戸籍謄本、相続人以外の場合は住民票など
  • 4
    財産に不動産がある場合はその登記簿謄本など

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言は、公証人により多少の差はありますが、次の手順で作成します。

  1. 1
    公証人が遺言者に氏名・生年月日等を尋ねたうえ、遺言の要旨を確認します。
  2. 2
    公証人が前もって作成してある公正証書遺言を遺言者と証人に渡して読み聞かせ、遺言者の意思どおり正確に作成されていることを確認したうえ、公正証書原本に遺言者、証人の順に署名・捺印し、最後に公証人が署名・捺印して、作成は完了します。
  3. 3
    公正証書遺言正本(原本とほぼ同じものですが、遺言者・証人の署名・捺印が省略され、公証人が「これは正本である」と記し捺印したもの)1通と請求した通数の謄本(正本を謄写したもの=写し)が交付され、原本は公証役場で保管されます。
  4. 4
    最後に、遺言者が公正証書作成手数料を支払って、手続きは終了します。

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